【レポート】
GI長野スタートアップシンポジウム
−日本酒×ワイン−

【レポート】<br>GI長野スタートアップシンポジウム<br>−日本酒×ワイン−

2021年6月30日に日本酒とワインが同時認定されたGI長野。それから約5ヶ月となる11月23日に、いよいよGI長野のお披露目イベント「GI長野スタートアップシンポジウム 日本酒×ワイン」が開催されました。
*GI長野とは?


シンポジウムの様子を配信したYoutubeが公開されています。
どなたでも閲覧いただけます。
以下のリンクからご覧ください。
GI長野スタートアップシンポジウム(Youtube)

主催者の関東信越国税局・成田耕二局長のご挨拶を皮切りに、長野県の阿部守一知事、長野県酒造組合の薄井朋介会長のご挨拶、そして関係者による鏡開き、さらに坂城葡萄酒醸造の成澤篤人さんのサーベラージュと続き、シンポジウムは華やかに幕を開けました。
成澤さんのサーベラージュの動画はこちらから

その後はオンラインで日本酒とワインのつくり手がかわるがわる登場して長野県の産地をご案内。
11月末といえば冬がもうそこまできている長野県。冷たい風が吹くなかでしたが、その美しい風景や、つくり手のほがらかな人柄を感じられました。

会場のスクリーンに映るのはヴィラデストワイナリーの小西さん(右)ほか

続いてロゴマークの紹介とプロモーションビデオの紹介がされました。

「土地の記憶をいただく」

このコンセプトのもと、映像ディレクターのきたむらゆうじさんが4月から県内各地を巡って撮りためてくださった、渾身の映像です。
(掲載許可が出次第、本サイトでもご案内させていただきます!)

ビデオより|林会長

ワインのビデオは林農園、林幹雄会長の言葉からはじまりますが、とくに後半に再登場した林会長の次の言葉に痺れました。

「世界に通用するワインではなく、世界で一番のワインをつくりたいという思いが常にある。それに向かって進んでいる。大変だと思ったことはない」

インタビュー時は2021年、御歳92。70年もの間ぶどうを育て、ワインをつくってきた林会長が、いつか長野県の誰かに世界一のワインをつくってほしいのではなく、今この瞬間ご自身がそういうワインをつくりたいと思っているという事実。そうした強く大きな志こそが今のNAGANO WINEの礎を築いてきたのだと、改めて思い知りました。

ビデオより|千曲川ワインバレー(上田市)

そして、ドローンも駆使して撮影された、整然と並ぶぶどう畑や山並み、そいて盆地の風景の美しいこと…!
ワイン用ぶどうの栽培が盛んになったのは100年ほどのことで、それは、長野県のなかでも新しく生まれた風景です。
それでも、長野県では今、ワイン用ぶどうが育つ風景が、郷土の風景のひとつとして確かに根付きつつあることをまざまざと感じた映像でした。

ビデオより|日本アルプスワインバレー
ビデオより|眼下に雲海を望む、千曲川ワインバレーの朝焼け

GI長野認定商品を取り扱う酒販店に木札が贈呈される場面では、先立って、当初より長野県原産地呼称管理制度の会長としてその推進に関わってきた玉村豊男会長よりご挨拶がありました。

スピーチに立つ玉村豊男会長

今回のGI認定は、日本酒とワインの同時認定という、全国初のこと。
そこに関連して玉村会長のスピーチでは、「アルコール度数の変化もあり世界の食卓で日本酒とワインの境目がなくなってきている。今こそ、長野県の日本酒とワインが一緒に打って出るとき」との言葉。会場に拍手が湧きました。

長野県の日本酒とワイン。

同じ酒類とはいえ歴史も携わる人も違う産業で、「一緒に!」ということが全体の大きな動きとしてはなかった長野県。これをきっかけに、新しいチャレンジが動きだすかもしれない、そんな期待に満ちた瞬間でした。

木札を受け取るのは長野県産のお酒の普及に尽力してこられた相澤酒店の相澤節子さん(右)

そして後半のパネルディスカッションへ。


パネラー
◯市川博之氏|長野県原産地呼称管理委員会 日本酒・焼酎委員会 委員長(松葉屋本店)
◯菊池 敬氏|長野県原産地呼称管理委員会 ワイン委員会 委員長(林農園)
◯島田律子氏|日本酒スタイリスト/タレント
◯緑川静香氏|女優/タレント
◯大滝恭子氏|日本ソムリエ協会執行役員

海外を視野に入れた認定制度であるGIを踏まえて、登壇された菊池委員長(長野県ワイン協会理事長)は「長野県のワインの品質は確実に向上しています。海外進出は容易なことではないけれど、努力次第。まずは海外のコンクールで認めてもらうところから」と述べました。
GIのお墨付きを背負って、林農園の林会長の言葉の通り「世界一」を目指す努力がこれからも続きます。

右から菊池委員長、大滝さん、市川委員長、緑川さん、島田さん。左は司会の堂真理子アナウンサー

一方の日本酒は、近年、海外の進出が目覚ましく、長野県の日本酒もすでに海外で高く評価されています。
コロナ前は、蔵元が海外に出向いてワイン会を開くこともあり、ヨーロッパをはじめ海外の有名店で日本酒が取り扱われている例も少なくありません。

ワインの一歩、二歩、先を走る日本酒は追いかけたい先達でもあります。だからこそ、市川委員長の「日本酒・ワインの境界を超えて、地域も超えて、広くGI長野を伝えていきたい」という言葉も、心強く響きました。

最後に菊池委員長は、GIとは文化や歴史の重みとともに土地の価値を表したもので、地域の経済活動を担うものでもあると述べたうえで、その制度を広げていくためには、まずは飲み手にいかに理解してもらえるかが大切なことと、締めました。

GI長野。

関係者の間ではずいぶん前から協議され、言葉も内容も浸透しつつありますが、一般消費者の皆さんにどれだけ周知されているかといえば、まだまだ、まだまだ、これからの制度です。
GI長野が国によって認定されたことがゴールではなく、これからGI長野をより広くより強くPRしていくことが必要です。


GI長野認定のワインはこちらからご覧いただけます。


認定数はこれからどんどん増えていきます。店頭で見かけたらぜひGI長野の商品を手にとってみてください。
そして、数多ある長野県の日本酒とワイン。どれを買ったらいいか迷ったら、ぜひGI長野認定商品を選んでみてください。

GI長野とは、
長野県産の日本酒とワインの産地と品質、
その両方を保証する制度です。

シンポジウムの終了後、壇上に上がって記念撮影をする関係者のみなさん。市川委員長のお話で印象に残った言葉のひとつに、「お酒を通じてつながって、関われる人が増えていくことがとてもうれしい」という言葉がありました。ワインと日本酒のつくり手、酒販店、消費者のみなさんなど、多彩な面々が並ぶこの写真は、市川委員長の言葉を象徴する一枚です。