白澤 卓二(しらさわ たくじ)
1958年神奈川県生まれ。医学博士。順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本ファンクショナルダイエット協会理事長。
日本アンチエイジングフード協会理事長。『長寿の里「高山村」長生きレシピ』(アスペクト)、『なぜ長寿の人は赤ワインを飲んでいるのか?』(メディアファクトリー)、『100歳までボケない101の方法』(文藝春秋)など著書多数。1958年神奈川県生まれ。医学博士。順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本ファンクショナルダイエット協会理事長。
日本アンチエイジングフード協会理事長。『長寿の里「高山村」長生きレシピ』(アスペクト)、『なぜ長寿の人は赤ワインを飲んでいるのか?』(メディアファクトリー)、『100歳までボケない101の方法』(文藝春秋)など著書多数。
Vol.3 教えて!体に良い赤ワインに合う食材
1.ワインと食事のおいしい関係
ウイスキーやブランデーなどと違い、ワインは本来食事を取りながら楽しむお酒です。最終回は、ワインと食事のおいしい関係についてご紹介しましょう。料理に合わせてワインを選ぶとき、一般的に「肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワイン」と言いますが、必ずしも肉・魚での分け方にとらわれる必要はありません。「色の濃い料理には赤ワイン」というぐらいに考えるのがよいでしょう。エイジングケアを考えて赤ワインを飲むならば、一緒に食べる食材や食べ方でその効果を後押ししたいですね。
そして、健康長寿を考え太らないために、先に野菜など食物繊維の多いものから口にしましょう。こうすると、後から肉などを食べたとき、食物繊維が動物性脂肪を吸着して体の外に出してくれますし、ご飯などの糖質を食べても、インスリンが一気に分泌されません。また、よく噛むことも心掛けてください。一口で30回以上噛むと、少量でも満腹感が得られます。よく噛んで
唾液の分泌を促すことで、活性酸素を除去する効果も期待できるのです。
2.老化・ボケ・がん予防に ワインと摂りたいこの食材
次に、ワインとともに取ると健康づくりに役立つ具体的な食材についてお話ししていきましょう。
【野菜】
ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル(植物性化学物質)などが豊富な野菜は、体に良い食材の代表選手。特にファイトケミカルには体の酸化を防ぐ働きがあり、老化、ボケ、がんを抑制する効果があります。なかでも赤ワインと相性がいいのは、色が濃いものや、香りや苦味が強い野菜。なす、にんじん、ブロッコリー、たまねぎ、ハーブ類などです。ファイトケミカルは皮の近くに多く含まれるので、できるだけ皮をむかず丸ごと食べましょう。またファイトケミカルやポリフェノールは、加熱しても壊れないので、調理に赤ワインを使うとワインが苦手な方もポリフェノールが摂りやすくなります。
二日酔いが気になる人は、ビタミンCも忘れずに。二日酔いの原因物質、アセトアルデヒドを分解するのに役立ちます。ビタミンCの豊富な食材は、ピーマン、モロヘイヤ、ブロッコリーなどの野菜類。ファイトケミカルも多く含むので一石二鳥です。
【果物】
おいしくて体に良いりんごやぶどうなどの果物。りんごに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは、腸内のコレステロールを包んで排出してくれるため、高血圧の予防効果があります。また、ぶどうと同様に活性酸素を抑制するポリフェノールも豊富です。デザートとしてだけでなく、すりおろしたり、さいの目にして和え物に使うなど、料理に取り入れるのもアイデアです。
【きのこ類】
きのこ類特有の栄養素、β-グルカンには抗腫瘍作用があり、がんの発生・進行を抑えます。例えば、信州特産のしめじ、まいたけ、エリンギなどをワインで味付けした「きのこソース」を、豚肉のソテーに添えてみてはいかがでしょう。疲労回復に効くといわれる豚肉のビタミンB1ときのこのβ-グルカンを、おいしく摂取することができます。
【肉・魚】
アルコールで肝臓に負担をかけるのを避けるために、肉、魚介類、チーズ、納豆などのタンパク質も同時に摂りましょう。肝臓を修復するだけでなく、胃壁を守ってくれる効果もあります。鶏肉はタンパク質が豊富ですが、中でも信州特産の「信州黄金シャモ」はおすすめです。アスパラギン酸、グルタミン酸などのうま味成分を通常の鶏の3倍以上も含み、それでいてカロリーは3/4以下と、おいしくてヘルシー。オリーブオイルでさっとグリルし、赤ワインソースで召し上がってください。同じく特産品の「信州サーモン」は、高い抗酸化作用で認知症予防にも効果が期待されるアスタキサンチンが豊富。きのこやたまねぎ、玉子を練り込んだ味噌焼きにすると、赤ワインに良く合います。
3.「食事」「運動」「生きがい」で健康長寿を
健康や食事についてお話ししていると、こんな質問を受けることがあります。「毎日赤ワインを飲んで、健康に気を付けても、人の寿命はあらかじめ遺伝で決まっているのではありませんか?」。はっきり言いましょう。答えは「ノー」です。その証拠に、遺伝子が100%同じ一卵性双生児でも、寿命はそれぞれ違います。デンマークには双子について1世紀にわたって調べた研究もあって、それによると寿命が遺伝によって決まる割合は約25%。残りの75%は環境や生活習慣によって決まるそうです。
では、長生きできる生活習慣とはどういうものでしょう。私は100歳を超えて活躍する百寿者の皆さんにインタビューしてきましたが、その結果、いつまでも若々しくいるためには「食事」「運動」「生きがい」の3つの柱が必要であると確信しました。
「食事」は、腹七分目でよく噛んで食べること、また色の濃い野菜を中心にバランス良く食べることで、老化の要因である活性酸素を抑え、免疫力をアップさせることができます。
「運動」は、いつまでも元気でいるために重要です。運動する習慣があれば病気にかかりにくくなりますし、転倒骨折などによる寝たきりの防止にも効果があります。
「生きがい」は、熱中できるものを持つことです。どんなものにせよ、心から楽しいと感じ、ときめくものがあると、脳が活性化してアルツハイマー病を防ぐことにもつながります。
どうか皆さんもこの3本柱を忘れず、適量の赤ワインを楽しみながら、日々生きがいを持って健康長寿を目指してください。