松本市
|民芸の宿 旅館すぎもと|
趣味人の館主のおもてなしが光る
民芸の宿でジャズとワインを
奈良時代からの歴史が語られ、江戸時代には松本藩主が御殿の湯として愛した美ヶ原温泉。そのなかでも老舗旅館として名高いのが「すぎもと」です。
落ち着いた雰囲気の民芸調の宿に入れば、静かに流れるジャズ。ロビーにあるマッキントッシュのオーディオを始め、館内あちこちに音質にこだわったオーディオが配置されています。すぎもと8代目の当主・花岡貞夫さんはなかなかの趣味人とお見受けしました。
「お酒の好きなお客様に来ていただきたい。うちの宿は、お酒を飲んでナンボです」と言い切る花岡さん。すぎもとの料理は定評がありますが、それを楽しんでいただくにはお酒が欠かせないということでしょう。自身も日本酒、ワイン、ウイスキーが大好きで、仕事柄からもさまざまな逸品を飲んできただけに、酒談義には熱が入ります。
「日本食はバラエティ豊かで、酢の物など味の強いもの、焼き鳥のように匂いのあるものなど味の幅が広いのが特徴です。ワインとのマリアージュを考えて食事を楽しむには、欲を言えば5種くらいのワインがほしいところ。一方、前に食べたものをリセットして新たな料理を受け入れるのが日本酒。食中酒としての役割は、ワインはマリアージュ、日本酒はリセットなんです」
「日本の料理と合わせるには、日本のワインは悪くないですよ。特にNAGANO WINEは白のレベルが上がってきました」
お客様のために揃えているのは、塩尻や安曇野など地元・松本平を中心に、定番と呼べる品質の安定したワイン。ワイナリーはアルプス、井筒ワイン、信濃ワイナリー、山辺ワイナリー、あずみアップルなどです。
民芸調に統一された館内では、客室がそれぞれ異なるテイストで趣向が凝らされています。食事処も掘りごたつのある民家風と、テーブル席の土蔵風の二つの料亭。露天風呂を備えた大浴場のほか、貸切露天の寝湯、庭を眺めながら楽しめる露天ジャグジースパなどお湯も様々に楽しめます。
花岡さんが自らの夢を叶えたという、ツリーハウス登夢創屋(トムソーヤ)や豊臣秀吉の茶室を模した茶室「かぐや姫」は忘れずに訪ねてみたいところ。地下通路や秘密基地もあって、童心がくすぐられます。花岡さんの遊び心に導かれて、館内を探訪していると、疲れた心もゆるゆるとほどけていくようです。
花岡 貞夫さん
1955年松本市出身。立教大学を卒業後、すぐに実家に戻って旅館業に従事。専務を経て、旅館すぎもとの8代目当主。ローカリティ(地域性)、スペシャリティ(上質)、オリジナリティ(個性)を大切にしながら、お客様に迎合しすぎず、お客様と相性のいい宿をめざす。そば打ちの腕は確かで、当主自らの打ちたてのそばは常連客に人気が高い。
住所 | |
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電話番号 | 0263-32-3379 |
営業時間 | IN 15時 OUT 10時(料金:2名1室利用で1名あたり1万5000円~) |
アクセス | JR松本駅からバス17分 |
URL |